田辺凌鶴さんの創作講談「移動図書館ひまわり号」を聞く会(第117弾)を開催しました。

令和7(2025)年5月25日(日)午後2時から4時半すぎまで、カフェ花豆で田辺凌鶴さんの創作講談「移動図書館ひまわり号」を聞く会(第117弾)を開催しました。

今年は日野市立図書館が開設してから60年という節目の年です。そこで、日野宿発見隊では日野図書館誕生にまつわる創作講談を語る講談師の田辺凌鶴さんをお招きし、当時の市長有山崧さんの次男、至さんのお宅(カフェ花豆)をお借りして開催したものです。

初代館長前川恒雄さんのお嬢さんの文さんや副館長鈴木喜久一さんの夫人茂子さんとお嬢さんなど、32名の参加者を前に、古典講談「高野長英 水沢村涙の別れ」と創作講談「移動図書館ひまわり号」を語っていただきました。伝統的な古典作品と今から60年前の史実を題材にした創作作品の二演目、特製舞台(小屋)で語られる生の講談の迫力にすっかり魅了されてしまいました。

田辺凌鶴さんは昭和42(1967)年、福生市生まれで、立川高校、中央大学と進み、2000年に「ヒゲの一鶴」こと講談師田辺一鶴さんに師事。2012年に真打に昇進し、現在、創作講談を中心に精力的に活躍されています。

凌鶴さんが参加している読書会でたまたま日野から参加しているメンバーから、前川恒雄さんの『移動図書館ひまわり号』を紹介され、その中に綴られた日野市立図書館誕生からの約10年の物語に心を揺さぶられ、ここに創作講談「移動図書館ひまわり号」が誕生したといいます。何とも劇的な巡り合わせではありませんか。

カフェ花豆
田辺凌鶴さん
懇談会
シフォンケーキとコーヒーに舌鼓
お疲れさまでした

現在とは比較にならない貧しい社会情勢のなかで、1台の移動図書館ひまわり号から始まった図書館サービスは知的好奇心に飢えた市民のなかでに野火のように広がり、その後、日野の実践は全国の図書館に多大な影響を与えたのでした。

前川恒雄館長や鈴木喜久一副館長をはじめとする図書館員たちの奮闘。部下たちを信じその後方で温かく見守る有山崧市長。戦前の過ちを二度と繰り返さないために、図書館という存在に命をかけひたむきに生きた前川さんたちの思いが、凌鶴さんの語りを通して熱く伝わってきました。

こんなに素晴らしい歴史のある私たちのまちのお宝「日野市立図書館」をこれからも大切に育てて行きたいと思いを新たにしました。

今回は限定したメンバー向けの会でしたが、一般の市民の方を対象とした会を日野宿本陣で開催してはどうかとの感想を多数いただきました。今ではまったく当たり前の図書館サービスですが、市民の日常の暮らしを支える新しい図書館を生み出そうと奮闘した先人たちが半世紀前にいたことを忘れないためにも是非実現したいものです。